高齢化社会にともない、特殊清掃という言葉を耳にする機会が増えました。特殊清掃とは、孤独死や自ら命を絶った方の部屋を清掃し、次に入居する方が安心して立ち入ることができるようにすることをいいます。これは一般的なハウスクリーニングとは全く異なります。この記事では特殊清掃について、清掃前に絶対に知っておいてほしいことをご説明します。ぜひご一読ください。
特殊清掃って何をするの？
改めて特殊清掃とは、孤独のまま死亡が発見された方や、自ら命を絶った方のご自宅を清掃することをいいますが、ハウスクリーニングと全く異なる点として、ご遺体から流れた体液の除去や消毒を含むことです。
さらに、体が腐敗することによって死臭が染み込み、変色してしまった床や家具の処分、吐血してしまった場合は吐血の流れた床の清掃、ご遺体に群がったウジ虫やハエといった害虫を退治します。
絶対に特殊清掃が必要な理由
「費用をかけて特殊清掃をしなくても、普通のハウスクリーニングではダメなのでしょうか？」というご質問をよく聞きますが、通常のハウスクリーニングでは対処不可能です。人間は亡くなって3日以上経つと強い死臭を発します。
さらに体からは死臭に加え体液と血液が流れ出て床材に染み込んでしまいます。この染みは一般のハウスクリーニングでは除去できず、必ずトラブルになりますので特殊清掃は必須な清掃です。また特殊清掃をしないままでいると強い死臭はますます強烈になり両隣や階下にお住まいの方に迷惑がかかります。孤独のまま死亡が見つかった場合は特殊清掃が必要です。
特殊清掃で絶対に知っておいてほしいこと
清掃前には絶対に入室しない！
ご親族の遺体が孤独のまま見つかった場合は、特殊清掃前のご遺族での入室はおすすめできません。「親族以外には見られたくない物があるかもしれませんから」と故人を気遣って室内に入ってしまいますと、あまりの死臭の強烈さに体調を崩してしまう危険性が非常に高いです。
さらに、発見されるまでに長い時間が経ってしまっているご遺体だった場合には、流れ出た体液が床に故人の形そのままに変色して残っているケースが多々あります。加えて死亡時に血を吐いたり怪我によって出血が大量であったりしますと、部屋一面に血液が広がっていることも考えられます。
こういった人の死に関わる強烈な現場に直面しますと、精神的ショックを受け、幻臭症状やうつ病を発症し、長きに渡り苦しむケースがあります。清掃の前の入室は避けましょう。
手袋や防護服の着用
人によっては特殊清掃が終わる前の部屋に入らざるを得ないケースがあるかもしれません。そのときは、手袋と防護服の着用をおすすめします。
孤独のまま発見された方の部屋では、臭いの非常にきつい体液が室内の物に付いている場合がほとんどです。よって遺品に触れる際は必ず手袋をします。ほんの少しの体液であっても、腐敗体液が一度付けば、簡単にはとれないものだからです。
加えてその体液が付いた手で遺品整理をしていきますと、さまざまな場所に強烈な臭いをふりまき拡散させることになります。一度拡散した死臭に対処するにはその洗浄に時間と高額なお金がかかります。
このように清掃が終わる前の部屋に入ることは決しておすすめできませんが、やむを得ず入らなければならない場合は、手袋や防護服の着用をおすすめします。
窓開け厳禁
さらに窓を開けることは厳禁で、絶対にしてはなりません。あまりにも強烈な死臭が近隣に広がるためです。
孤独のまま亡くなられた方の居室の死臭は耐えがたく、すぐに換気をしたい気持ちは分かります。しかしアパートやマンションといった集合住宅はもちろんのこと、たとえ一軒家であっても臭いの換気のために窓を開けてはいけないことが、この清掃においてのルールになっています。
お天気の良い昼間を思い浮かべてください。家族の洗濯物や布団を干しているご近所さんも多いでしょう。そのようなときに死臭の充満した部屋の窓を開けては、洗濯物に臭いが付いてしまいます。洗濯物に付いた死臭について損害賠償の請求をされかねません。それほど人の死臭とは強烈なものなのです。よって窓を開けることは厳禁です。
まとめ
特殊清掃は一般的なハウスクリーニングとは全く異なるものです。不用意にお亡くなりになった方の部屋に入室すると精神的ショックで体調を崩してしまう危険性があります。また近隣の方にも迷惑やトラブルが起こりやすいので、特殊清掃をしなければならない状況になった場合は、慎重に対処するようにしてください。
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